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サイクロスポーラ



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下痢

感染症



サイクロスポーラ
下痢を起こす感染症

「ネパールの国際協力事業団(JICA)医学教育プロジェクトのチームリーダーをしていた小原博博士から、1996年4月にお手紙をいただいた。

『サイクロスポーラ』という新しい原虫が、ネパールに来た旅行者から検出されています。先生に送りました便は、その患者から採取したものです。これをきれいに写真撮影していただけませんか」
この原虫は、1986年にハイチとメキシコの旅行者の下痢便中に初めて見つかった。


クリプトスポリジウムとよく似た原虫だが、それより大型(7~9マイクロメートル)で、より球形近く、抗酸染色で陽性を示す。

この病原体の正体は長らく不明であった。

4年前の93年になって初めて、これがサイクロスポーラという原虫であることが確認された。

サイクロスポーラは1870年、モグラの腸管で見つかったのが世界で最初の報告だった。その後、ヘビ、ネズミでは検出されていたが、人間からは1986年までは感染例は報告されていなかった。

その後、サイクロスポーラはネパールでしばしば見られるようになった。89年6月~11月にかけて、長引く下痢を主訴に、カトマンズ市内のクリニックを訪れた外国人旅行者55人の便中に原虫が検出された。これらの症例を含めて、ネパールでのこれまでの報告例はすべて、免疫機構の正常な外国人が発症したものだった。

このように、サイクロスポーラ症は、先進国の人たちが、散発的に感染する下痢症に過ぎなかった。

ところが、昨年になって米国内でサイクロスポーラによる集団感染が起こった。
全米20州で1465人の患者が集団発症し、うち987人からこの原虫が確認された。

この広い範囲で発生した集団下痢症の原因はグァテマラから輸入されたラズベリーであった。

1997年になっても引き続き、米国内で発生している。6月~7月にかけて、バージニア州などで起こったが、今度はバジル入りの食品が感染源だった。同州の例は、ある会社の昼食会に出されたバジル入りのパスタとサラダが原因とされたのだ。今年だけでも米国やカナダで本症の患者が1450人に達している。英国やドイツ、日本では集団感染はまだ見られない。

しかし、1996年3月、東南アジアを旅行して帰国した日本人にサイクロスポーラが検出された。いつ日本で、サイクロスポーラの集団下痢症が起こるのか。私はその日が間近に迫っているような気がしてならない(藤田紘一郎・東京医科歯科大学教授)







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